後悔 【人間No.2】

 

「後悔の残らない人生を歩め」

「反省はしても、後悔はするな」

 

こんな言葉を聞いたことがある。

 

誰しもできることなら後悔は残したくないものだ。

だから、反省して、次後悔しないために何をするべきか考える

しかし、あの時のことなんか考えても、今となってはもう何も変えることはできない。

 

 

 

 

あの時・・・

 

前には2人、1人はライバル校の来年のエース

俺はパッとしないただのランナーだ。

こう考えている時点でもう結果は決まっていたのかもしれない。

初めからついていくことなんかできなかった

むしろ、ついて行こうとしなかったのかもしれない

 

あの時のことは思い出すことができない

むしろ、思い出したくないのかもしれない

唯一覚えているのは

カラカラに乾いた喉に無理やり空気をぶち込む喉が擦り切れる感覚だけだ

 

結果、アクシデントで1位が倒れ、エースが1位、俺は2位になった

 

俺は嬉しかった、

エースに少しでも張り合えたからか、2位に慣れたからかわからない

最後の大会と決めていたから、すべてが終わり解放されたからなのかわからない

レースが終わり、みんなの元へ帰ってきた時に見たみんなの顔はなぜか少し暗かった

理由はわからなかった

 

「なんで?俺は2位になったよ?」

 

あの時はまだ気づきもしない

 

そのあと、表彰式を終え、俺は引退した

そして、今に至る・・・

 

 

 

 

最近、また走りたくなってきて走り始めた

そして、あの時も感じた苦しさを味わい、あの時を思い出す

 

今になって気づく、あの時気づけなかったこと

 

そうだ、俺が負けを決めたんだ

 

 

先生の言葉も思い出してきた

「お前で仕掛ける」

「もう、前しかいくところがないぞ」

そんな深い意味があるとは思ってもいなかった

 

もちろん、うちのエースは1番手においた、2番手は流れを作る重要な位置に

そして、俺だ

 

気づいた、俺は「Black Horse」、隠れた刺客だった

 

 

後悔の念ばかりが押し寄せてくる

あの時のみんなの顔は失望した顔だった

 

みんな優しかった、誰1人責めてくる人はいなかった、優しすぎた

 

そんなことにも気づかず、勝手に引退を宣言し、1人の勝負へと逃げた、

優しいみんなを捨てて、

            

            なんと間抜けな

 

後悔の念ばかり押し寄せてくる

みんな優しかった、みんなが引退した後も遊びに誘ってくれた、優しすぎた

 

そんなことにも気づかず、その時を楽しんだ、

 

            なんと間抜けな

 

 

 

今まで、後悔のない人生を送ってきたつもりだった

やりたいことは全てやらせてもらってきた、今もやらせてもらっている

 

今気づく、私の人生に後悔は1つ

「みんなの優しさ、期待に気づけなかった」

ただそれだけだ。

 

みんなというのは、チームメイトだけじゃない、

先生も、親も、大事な人も全ての人だ

 

 

「反省はしても後悔はするな」

この言葉はただの言葉遊びだ

こんな言葉で終わらせるつもりはない

 

私は後悔を背負い、業として生きる

皆の優しさを背負い生きる

 

後悔をしない人間なんていない

だが、それを捨てるのか、反省して横においておくのか、はたまた、背負うのか

それは自由だ

 

後悔とともに私は今を生きる

 

今日も私は人間だ